アドバンス助産師の活躍

第3回 野島 奈明様
(社会医療法人愛仁会高槻病院職員)

はじめに、自己紹介をお願いいたします。

三重県内の大学で看護・助産基礎教育を受け、現在、助産師14年目になります。
アドバンス助産師は初年度の2015年に認証取得いたしました。
その後、さらなる自己研鑽のために大学院へと進学し、2019年3月に博士前期課程を修了しました。

勤務されている高槻病院のことを教えていただけますか。

大阪府北部にある、総合周産期母子医療センターを標榜している病院です。
また、昔からこの地域の方々にとって市民病院のような存在の、地域に根付いた病院でもあるため、今では「私もこの病院で産まれたんです」という妊産婦さんがいらっしゃいます。さらに、当院は、院内助産センターも開設しており、年間約1200~1300件の分娩のうち、200件強を院内助産センターが担っています。

普段のお仕事の様子はいかがですか。

私は、院内助産センターに所属しています。
院内助産開設11年となり、私自身も所属して10年目に入ったため、2回、3回、もしくは4回と院内助産を利用してくださる方とお会いできることが増えてきました。また、当院では、院内助産を利用されなくても、正常経過の方であれば、胎児スクリーニング等の週数以外はすべて助産師が妊婦健診を担当しているとともに、ハイリスク妊婦の方への保健指導の機会も多くあります。多種多様な妊婦さんと出会い、勉強させていただくことで、妊婦健診における自らの引き出しが増えていることを実感しています。

アドバンス助産師として行っている取り組みや、研修企画などはありますでしょうか。

当院のNICUにてハイリスク新生児への看護を学んだ経験から、新生児蘇生法専門コースインストラクターとして活動しています。
また、全国の小児科医を中心とした新生児蘇生法普及のための委員会メンバーとともに、クオリティ・マネージャーとして、インストラクター養成にもかかわらせていただいています。
医師不在の分娩はありますが、助産師不在の分娩はほとんどありません。だからこそ、助産師には新生児蘇生法の習得が必須と考え、院内外問わず多くの助産師が新生児蘇生法を習得・維持できるよう、普及に努めています。

助産師を目指した理由やきっかけはどんなことでしたか。

母性看護学実習のときに、助産師の言葉がけによって、疲労困憊な様子であった分娩台の産婦さんが蘇ったように気力が湧いたと感じ、人生の大イベントにこれだけ大きな影響を及ぼす存在ってすごいなと思ったことと、実習担当の教員に勧めてもらったことがきっかけです。

この仕事の難しさを教えてください。

助産師は、身体的・精神的・社会的など、さまざまな側面から女性にかかわります。
しかし当院では、小児科医、小児科看護師、ソーシャルワーカー、臨床心理士、栄養士に加えて、産婦人科領域のエコーを行う専門の資格をもつ検査技師、妊婦さんや授乳中の方専門の資格をもつ薬剤師など、その道の専門家がおり、助産師や産婦人科医だけではなく、必要に応じて多くの専門家が女性にかかわっています。そのようなとき、より一層、助産師の専門性が問われているように感じます。助産師がやるべきこと・助産師にしかできないことは何かと常に考えながら、日々過ごしています。

この仕事の良いところを教えてください。

母や祖母から分娩のときの話を聞くことがあるのですが、数十年前の出来事にもかかわらず、驚くほどよく覚えています。
このように、分娩を経験した方たちは、ことあるごとにそのときの記憶が蘇り、助産師のかかわりは良くも悪くも色濃く残っているのだろうと考えたとき、人の思い出の一部になれることに多大なやりがいを感じられるところです。しかし、それに対する責任も同時に感じます。

助産師になってより磨かれた部分、得意になったことはどんなことでしょうか。

相手を知ることは、ケアリングの基本となります。
自分の目の前にいる人がどのような人なのか、何を求めているのか、どの部分を支援すればより良くなるのかなど、助産師としてのキャリアを重ねていく中で、自然とその人を知ることの重要性が分かり、アンテナが磨かれていると思います。しかし、まだまだ充分ではなく、発展途上であるとも思っています。

最後に、アドバンス助産師としての抱負や、これからアドバンス助産師を目指す方へのアドバイスをお願いします。

アドバンス助産師に求められることは、女性によって異なることはもちろん、時代や地域、組織によっても異なると考えています。そのため、アドバンス助産師としての自分に満足することなく、また、アドバンス助産師像を型にはめてしまうことなく、身につけたものをどんどんブラッシュアップし、芯の通った柔軟性がある助産師になれるように努力していきたいと思います。

ご協力ありがとうございました。