アドバンス助産師Vol.10

2022.02.15

  • 【特集】これから産む人、産みたいと思っている人へのプレコンセプションケア
    はじめに:今、求められるプレコンセプションケア

    助産師は、これまで、主に妊娠・出産・子育てを中心にケアを提供してきました。これからは、プレコンセプションケアの推進のための役割も社会から期待されていくと考えます。

公益社団法人 日本助産師会 副会長

安達 久美子

 2021年の出生数は80万5千人程度と推計されており、出生数の減少は予測より早い状況で進んでいます。その一方で、不妊症における生殖補助医療(ART)の実施件数は増加しています。この大きな要因は、女性の社会進出により妊娠・出産を検討する年齢が上昇していることにありますが、不妊治療を受ける女性は20代や30代前半でも少なくありません。女性が自身のライフプランを実現していくためには、希望する時期に妊娠・出産できることが理想ですが、それが難しい状況にあります。

 

 このような社会状況の中、平成30年に、成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律(以下成育基本法)が公布されました。さらに、昨年2月には、成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針が示されました。この指針の中では、成育過程にある者や妊産婦の健康の保持増進に寄与することが助産師の役割とされています。また、生涯にわたる保健施策として、将来の妊娠のための支援としてプレコンセプションケアに関する体制整備を図ることも明記されており、今後は、国として、プレコンセプションケアを推進していくこととなります。

 

 プレコンセプションケアには、いろいろな定義がなされていますが、成育基本法の趣旨からみれば、対象者は成育過程にある子どもたちから、今、まさに、妊娠・出産を望んでいる人たちまでと幅広く、その内容もセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、生命、健康に関わる包括的な視点からの取り組みが必要となります。助産師は、これまで、主に妊娠・出産・子育てを中心にケアを提供してきました。しかし、これからは、プレコンセプションケアの推進のための役割も社会から期待されていくと考えます。

 アドバンス助産師の皆様には、是非、この分野でもリーダーシップをとり、活躍いただきたいと思います。

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