アドバンス助産師Vol.10

2022.02.15

  • 【特集】これから産む人、産みたいと思っている人へのプレコンセプションケア
    アドバンス助産師に期待するプレコンセプションケア

    適切な時期に適切な知識・情報を提供する。大学におけるプレコンセプションケアのあり方を考えるとき、助産師は必要不可欠な存在である。

防衛医科大学校 医学教育部看護学科母性看護学講座 教授
西岡 笑子

 プレコンセプションケアは、適切な時期に適切な知識・情報を提供し、若い男女が将来のライフプランを考えて、日々の生活や健康と向き合うことである。今後プレコンセプションケアを推進していくために、産婦人科医師と同様に助産師は必要不可欠な存在であるといえる。それは、助産師が女性の生涯に寄り添う職業であること、就業者数は産婦人科医師が約1万1千人であるのに対し、助産師は約3万6千人(2018年)であり、マンパワーとしても期待でき、さらに、プレコンセプションケア18項目の一部は、以前から助産師が中学、高校等で性教育として実践しているからである。

 

 ここで、2020年度に実施した全国767大学保健センター(保健室等)への女性の健康支援に関する調査結果(厚労省科研費 飯島班)の一部を紹介する。回収率は21%で、プレコンセプションケア18項目に関連する健康講座の参加者数は、禁煙やアルコールなど広く大学生に周知すべき健康教育内容が多く、生殖に関連する項目は少なかった。女性の健康に関する講義、講座は15.5%で実施しており、一般大学では、教養科目、保健体育等で実施していた。健康相談はメンタルヘルス、一般身体症状に次いで月経が多かった。今後の大学における支援のあり方として、健康講座実施に加え、健康診断時に貧血、やせ・肥満、月経異常等がみられた学生に対し、リーフレットの配布、個別指導を行い、必要時、大学キャンパス近隣の医療機関と連携を図り婦人科受診に繋げることを検討する。月経に伴う困難があるにも関わらず羞恥心や知識不足により婦人科を受診しない女性が多いため、助産師が一人ひとりの学生に寄り添った個別指導を行うことで婦人科受診の心理的ハードルを下げることができるだろう。

 

 アドバンス助産師が日本におけるプレコンセプションケア推進のリーダーとなることを期待している。

 

※プレコンセプションケア18項目については国立成育医療研究センターHPをご参照ください。

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