アドバンス助産師Vol.13

2023.08.28

  • アフターコロナの時代にアドバンス助産師の活躍に期待

    アドバンス助産師は、出産施設、医療、保健、教育、産業などを繋ぎ、情報や人の連携・協働の推進者として、地域での更なる活躍が期待されます。

公益社団法人 日本助産師会 会長

高田 昌代

 新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類感染症」となり、事実上のアフターコロナの社会となりました。今後、リモートワークやデジタル化が一般的になり、ヘルスケアや公衆衛生への意識が高まり、国際的なつながりや協力の重要性も増し、多様で新しい生活様式が出てくる時代になると言われています。そのため、アドバンス助産師は、妊娠・出産を計画し、経験する女性やその家族の生活のあり様を理解し、社会を読んで必要なケアを準備する能力も求められると思われます。

 

 多様な働き方の推進により就業女性たちだけでなく、その親世代も就業している時代となり、これまでの「里帰り分娩」「実家の母親の支援」というのは当たり前ではなくなってきています。それも相まって、育児文化の継承が困難になり、これまで育児を学習していない親たちは「あやす」行為さえも難しい様子です。このように、社会の影響によって変わらざるを得なかった、妊娠・出産・育児は、個人や家族のことだけではなく、社会の責任として支援がなされています。産後ケア事業が、2023年度より希望する全ての母子が利用できるようになり、妊娠期からの相談事業・経済支援を含む伴走型支援が始まるなど、社会が妊娠・出産・育児の支援をおこなう事業が増えています。そのため、アドバンス助産師には、地域と出産施設との間での情報や人の連携・協働の更なる推進者として、親が親になるための支援者となること、そして地域での活躍が期待されます。

 

 もう一つ、アフターコロナの時代には、ヘルスケアの関心の高まりも想定されます。助産師のコア・コンペテンシーの1つであるウィメンズヘルスケアについて、アドバンス助産師の実践能力の発揮のしどころです。包括的性教育を含むプレコンセプションケアや就業女性の健康支援をはじめとする身体的・心理社会的な女性の健康の包括的支援も、人生100年時代にはすべての年代の女性に必要なケアとして推進されることになります。ここでも、地域と産業、医療、保健、教育などとの連携・協働・協力が必要です。マタニティケア能力はもちろんのこと、ウィメンズヘルスケア能力を習得しているアドバンス助産師に益々期待が高まるところです。

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