アドバンス助産師Vol.13

2023.08.28

  • 【特集】こども家庭庁の機能とアドバンス助産師の役割
    少子化による地域の課題と助産師の活動

    私たち助産師はこの「少子化」に何ができるのか。時代の流れの変化に助産師も順応していき、社会が望む助産師の役割を拡大していく時期ではないかと感じています。

ことり助産院 院長 小嶋 由美

 内閣府の「少子化社会対策大網」に基づき、『結婚、妊娠、子ども・子育てに暖かい社会』の実現のために、政策が検討され、こども家庭庁が設置されました。そのような報道や記事を読みながら、私たち助産師はこの「少子化」に何ができるのかを考えさせられます。

 

 分娩介助が醍醐味という助産師にとっては、少子化により生まれる赤ちゃんが減ることはその活動の場が少なくなるようにも思えますが、一方で、時代の流れの変化に助産師も順応していき、社会が望む助産師の役割を拡大していく時期ではないかと感じています。そして今その役割を果たせるのはアドバンス助産師なのではないかと思います。

 

 

 総合周産期母子医療センターに勤務しているときには病棟に入院されてから退院されるまでの母子に対して、一生懸命助産師として関わっていました。しかし、ふと、母子は入院前の妊婦の期間どのように過ごしてきたのだろう、産後はどのように過ごしていくのだろう、誰に相談して、どのように困難を乗り越えているのだろうかと思った時に、自分が助産師として幅の狭い期間にしか関われていないことに気が付きました。妊娠期間は医師を、退院後地域では保健師さんを頼っている母子に対して、助産師ももっと母子に関われるのではないかと思います。

 

 

 私はアドバンス助産師として大学病院で勤務しながら、助産院開業準備をはじめ、今では地域での活動が主になります。お産で大切にしていることは「お産楽しかった~。産後のご飯美味しかった~。また産みたーい」という気持ちになれること。産後ケアや母子訪問では「安心できて、体や心が楽になった。これでまた子育て頑張れるかも」という気持ちになってくれることを願いながら、助産師として関わっています。

 また、中学校に出向いて「赤ちゃん交流体験事業」をしたり、大学生に「プレコンセプション」のなかで、妊孕性や親になるために準備などのお話をしています。少子化により赤ちゃんの可愛さに触れる機会が少ないですが、大人になるのまでの体験により、将来結婚して子どものいる家庭を作りたい、と思える方が増えると良いなと思っています。

 

 このような助産師の関わりも少子化対策になり、こども家庭庁が掲げる様々な地域の課題に対する活動になるのではないかと思っています。

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