アドバンス助産師Vol.11

2022.07.25

  • 2022年新カリキュラムの運用に伴う実習の在り方の変化

    「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」の一部改正に伴うカリキュラム改正のポイントと実習指導についてのお願い

公益社団法人 全国助産師教育協議会 広報・社会貢献委員会担当理事
近藤 良子

 まずは、コロナ禍において助産学実習をお引き受けいただいております施設の皆様方へ誌面ではございますが、厚く御礼申し上げます。

 

 さて、2022年4月より助産師教育機関では新たなカリキュラムの運用を開始しております。助産師教育における新カリキュラムでは、表1の通り、助産診断・技術学8単位から10単位、地域母子保健1単位から2単位、総単位数28単位から31単位にそれぞれ上乗せされております。

表1 助産師教育における改正単位数新旧比較
  基礎助産学 助産診断・
技術学
地域母子保健 助産管理 臨地実習 総単位数
6 8 1 2 11 28
6 10 2 2 11 31

 

 近年、産後うつなどの周産期におけるメンタルヘルスや子どもへの虐待予防等が大きな問題となっております。助産師も多職種と連携・協働し、地域における子育て世代を包括的に支援する能力がより一層求められています。この現状を鑑み、前述した通り、講義として「地域母子保健」が2単位に増え、子育て世代への包括的支援について基礎知識の強化が図られています。加えて、臨地実習においては、従来、産後1か月までの母子をケアしておりましたが、今回「産後4か月程度の母子のアセスメントを行う能力の強化」と改正され、短期間ながら母子へのサポート期間の延長が図られました。「地域で生活する母子への支援」という視点を養えるよう各校、実習内容を工夫して臨んでおります。

 

 また、ハイリスク妊産婦の増加に伴い、学生も自ずとハイリスクの対象者と関わる機会が増えている現状から、正常からの逸脱が予測されそうなケースには予防を主体に保健指導等に関わらせて頂くこととなりました。更に、実際、母子に異常が発生した際の対応として、新たに設定された実習時の到達度レベルは「Ⅲ:実施が困難な場合は見学する」と設定されております。学校内でのシミュレーションを充分に実施することに加え、臨地実習の中で、学生も可能な範囲で緊急時対応における実際の現場に立会わせて頂くことが、深い学びの機会になると捉えております。

 

 その他、今般の改正においては、助産師として多様な背景の方々と関わる機会が多くなることを想定し、多様なコミュニケーション能力も身につけることが求められております。学内での演習でも強化を図ることはもちろん、指導者の皆様方を役割モデルとし、対象の方々と交わされている細やかで豊かなコミュニケーション力を参考に当該能力の向上を目指したいと考えます。

 

 なお、今般のカリキュラム改正の詳細は「看護基礎教育検討会報告書」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07297.html)をご一読頂けますと幸甚です。

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