アドバンス助産師Vol.11

2022.07.25

  • 【アドバンス助産師ご当地情報】
    開業助産師によるタスク・シフト/シェアの実践

    産科オープンシステムは、開業助産師と医療機関とのタスク・シフト/シェアの1つの形

いかだい助産所

筏井 沙織

 病院で出産することが当たり前の現在、私は「助産師と自然なお産がしたい」という妊産婦さんに接する開業助産師という働き方を選んだ。

 

 「助産師と自然なお産」というと助産所出産、自宅出産と考えるのが一般的だが、私は自宅出産とオープンシステムを利用した病院での出産を行っている。オープンシステムでの出産は、基本的にポイント健診は医療機関、その他の健診は助産師が行い、出産は医療機関にて開業助産師が行うものである。

 

 さて開業助産師が扱えるお産は助産業務ガイドラインに則ったもの、かつ嘱託医や連携医療機関にて医師が正常な妊娠経過と判断したものとなるため、正常な妊娠経過であることが条件となる。しかし、現在初産婦の平均年齢は上がり、不妊治療後の妊娠も増えており、助産業務ガイドラインの正常な経過に該当しない妊婦に出会うことが増えた。また、妊娠経過中に正常から異常へと移行することも稀ではない。正常な経過に当てはまらない、本来助産師が扱えない妊婦も医師との協働管理することにより、助産師と自然なお産ができるのがオープンシステムによる出産の最大なるメリットである。さらには自宅出産の場合、異常に転じ医療機関へ搬送になることがある。この場合もオープンシステムの出産は医療機関にて行われるため、異常に転じた場合、すぐに医師による医療介入が可能となる。これは、開業助産師による医療機関とのタスク・シフト/シェアの1つの形といえるのではないか。

 

 そして、このオープンシステムは産褥経過が順調との医師の判断があれば病院を早期退院でき、その後助産師による産後ケアを産婦は受けることができる。産婦は妊娠期から担当している助産師によるオーダーメイドのケアを受けられるメリット、退院後子育てをしていく地域でケアを受けられるメリットがあると考える。

 

 このようにオープンシステムとは正常な妊産婦ケアのエキスパートである助産師とハイリスクのエキスパートの医師が協働し、妊産婦を担当できる優れたものだと考える。そして、助産師としての責任を果たすために、正常異常の判断はもちろんのこと、妊産婦ケアをよりよいものにするために努力をし続けたいと思う。

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