アドバンス助産師Vol.9

2021.07.30

  • 新生児蘇生法インストラクターとして期待しています

    新生児蘇生法の専門家、指導者として新生児の命を助けるとともに、多くの周産期・新生児医療従事者を育成していただくよう日本周産期・新生児医学会理事長として御願いいたします。

一般社団法人日本周産期・新生児医学会 理事長

中村 友彦

 私は、1984年に大学を卒業し1年後に長野赤十字病院に小児科研修医として赴任しました。ある晩双胎の分娩立ち会いに呼ばれ、最初の児を蘇生していると次の児も息をしていません。アタフタしているとそこにいた産科の師長さん(当時は婦長と呼んでいました)が、いきなりmouse to mouseで蘇生してくれました。元気になった二人の赤ちゃんを見て婦長さんに「バシン」と背中を叩かれたのを良く覚えています。その後も分娩立ち会いに呼ばれて行くと、婦長さんはいつも分娩介助をされていました。「良く働く婦長さんだな」と思っていたら、ある時仲の良い助産師さんから「婦長さんは中村先生が当番の日は心配で残っているのよ」と聞かされました。新生児蘇生法講習会も新生児研修制度もなかった時代、もう亡くなられてしまいましたが、私を見かけると「がんばっているかしら」とニコニコしながらいつも声を掛けてくれたK婦長さんは私にとって最初の新生児蘇生法インストラクターです。

 

 妊娠中から分娩、出産後は育児まで母親と赤ちゃんの心と体に寄り添っておられる助産師さんを私は大変尊敬しています。その中でアドバンス助産師さんは、産科医、小児科医、新生児科医よりもはるかに多くの新生児の出生に立ち会っておられ、後輩助産師さんに新生児蘇生法を現場でご指導されていることと思います。そして時には40年近く前の私のような頭でっかちで生意気だが、いざとなったら手も足も出ない小児科医や産科医を押しのけて多くの新生児を救っておられることと思います。2021年5月時点で助産師資格のあるNCPRインストラクターは、Iインストラクターが721名、Jインストラクターが1062名です。これからもアドバンス助産師さんには、新生児蘇生法の専門家、指導者として新生児の命を助けるとともに、多くの周産期・新生児医療従事者を育成していただくよう日本周産期・新生児医学会理事長として御願いいたします。

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