アドバンス助産師Vol.7

2020.08.03

  • 厚生労働省委託新型コロナウイルス感染症に関する
    妊産婦臨時相談ダイヤル事業の実施

    実施期間8日間で延べ65名の助産師が業務にあたり、対応総件数は832件、相談者の6割が妊産婦本人によるものでした。

公益社団法人日本助産師会 角田佳志恵

 緊急事態宣言下迎える5月の連休を目前に、厚生労働省より妊産婦等に向けた電話相談事業への協力依頼がありました。医療機関の休診による相談窓口の縮小を考慮し、妊産婦の不安軽減を目的としたものです。事業の実施にあたっては、日々更新される情報の共有とともに、厚労省より指針として対応マニュアルが示されました。

実施期間8日間で延べ65名の助産師が業務にあたり、対応総件数は832件、相談者の6割が妊産婦本人によるものでした。相談内容は、「自身の感染リスクへの不安」と「雇用や労働に関するもの」がおおよそを占め、育児相談等はわずかでした。

具体例では、「感染したかもしれない…」といった相談については、帰国者・接触者相談センターへの問い合わせを促し、あわせて、妊産婦特有の注意事項などについての助言を行いました。例えば、母体に発熱があっても、診察時胎児の健康状態についての確認がなされていないなどの声も聞かれたためです。また、感染リスク回避のために、仕事を休みたいといった訴えも多く、母性健康管理指導事項連絡カードの活用をお勧めしました。母性健康管理措置に関連して、新型コロナウイルス感染症に関する措置の告示・適用日が重なったこともあり、各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)が設置する緊急相談窓口と連携しての対応になりました。

 今回の相談窓口には、日々の育児に関する相談などがもっと多く寄せられるかと思っていましたが、妊産婦の不安は、感染に関することが前面に出ていました。また、里帰りを考える妊産婦からの相談では、感染に対する医療職者の地域間での温度差が主たる要因になっていました。平時でも当たり前に必要な、医療職間の連携と、生活者に寄り添った助産師による継続支援の必要性について、いつもとは違った側面から改めて認識しました。

よく読まれている記事