アドバンス助産師Vol.7

2020.08.03

  • 知っておこう!押さえておこう!
    周産期における新型コロナウイルス感染症対策

    COVID-19は、第2波が予見されています。次に備えて、職責を果たせるよう必要な情報を把握、活用し、今できることに取り組みましょう。

臨床情報と妊産婦情報

 今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療や助産、看護に最前線でケアにあたり、最善を尽くして地域医療を支える関係者の皆さまに、こころより敬意を表します。

 さて、国はCOVID-19に対して、2月13日に「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」をまとめて以降、3月28日に「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、基本的対処方針を決定しました。その後、4月7日にはCOVID-19の急速な感染拡大を受け、特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を7都府県に発令し、同16日には全国に拡大しました。その間、国は感染拡大防止策、医療提供体制の整備、経済対策を講じています。

新型コロナウイルス感染症対策における国と関係団体の動き

 国が講じた対策は我々が関わる妊産婦や助産師自身に関する事項もあります。皆さんは、どのくらい情報を入手されましたでしょうか。今回の機関誌では、アドバンス助産師の皆さんが我々助産師の活動に関わる情報を把握できるよう次頁でご紹介をしたいと思います。

 5月25日に緊急事態宣言が解除され、少しずつ経済活動が再開されています。同時に、助産ケア提供体制も新たな提供体制を念頭におき変革していかねばなりません。COVID-19は、第2波が予見されています。次に備えて、職責を果たせるよう必要な情報を把握、活用し、今できることに取り組みましょう。

妊産婦を対象にした情報

 妊産婦に関連した対策として特記すべきは、男女雇用機会均等法に基づく指針の改正です。働く妊婦の母性健康管理上の措置に、新型コロナウイルス感染症に関する措置が新たに規定されました。職場において新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが妊婦の健康保持に影響があるとして、医師又は助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合には、事業主は必要な措置(作業の制限、出勤の制限など)を講じるものとされています。具体的な方法として、妊婦が事業主に的確に指導内容を伝えられるように、「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用します。裏面の特記事項の欄に指導内容を記入してください。この措置は、2020年5月7日~2021年1月31日までとなっています。

厚生労働省

妊産婦のPCR検査

 令和2年度第2次補正予算にて、新型コロナウイルス感染症の検査を希望する妊婦へのPCR検査の補助が組み込まれました。厚生労働省は、5月27日付け事務連絡にて、都道府県に対し「新型コロナウイルス感染症に対応した妊産婦に係る医療提供体制・妊婦に係る新型コロナウイルス感染症の検査体制の整備について」を示しました。妊産婦は、新型コロナウイルス感染症に対して、強い不安を抱えている場合があることから、安心して出産し、産前産後を過ごすことができるよう、妊産婦に寄り添った支援体制を整備することが重要とされています。

 すべての妊産婦へのPCR検査については、賛否両論があります。その理由の1つにPCR検査は万能ではないことがあげられます(感度70%、つまり感染者の30%は偽陰性)。ある時点でPCR検査陰性でもその後に感染リスクがあること、過剰医療になりうること(陽性者はほぼ帝王切開、母子分離)から、慎重に検討すべきとされています。妊産婦のPCR検査をどのように実施するかという議論は勿論重要ですが、医療施設、地域との連携体制を整え、陽性となった妊産婦・母子への支援体制を構築すること、これこそ第一にやるべきことではないでしょうか。

医療従事者を対象にした情報

 政府からは集団感染防止として、3密「密閉」「密集」「密接」を避けることが推奨され実行するところが増えてきました。一方、医療現場においても、3密を避けるとともに標準予防策と手指衛生の徹底・環境整備が重要となります。このような中、助産ケアの提供においても、集団で実施していた母親学級・両親学級などは中止しWEBによる開催、育児相談・授乳支援も対面から電話・WEBにより相談を受けるなど、支援方法を工夫して取り組むところが増えてきました。

 新型コロナウイルスによる感染は未知なことが多く、感染状況や対応についても様々な情報が錯綜し不安をあおることにつながります。

 助産師は、最新の正しい情報を収集し日々の助産ケアに活用することが重要です。

厚生労働省をはじめ、関連団体等のホームページより必要な情報を収集いたしましょう。

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