アドバンス助産師Vol.16

2025.02.10

  • 【特集:性と健康の相談支援センター事業を推進する】
    福岡県助産師会が運営する福岡県プレコンセプションケアセンター

    自治体初の相談と情報発信機能を備えたプレコンセプションセンターが、福岡県に誕生しました。福岡県助産師会の先駆的な挑戦についてお話しいただきます。

一般社団法人 福岡県助産師会 会長

佐藤 香代

 2024年4月30日、福岡県プレコンセプションケアセンターが開設されました。相談と情報発信、両方の機能を備えたセンターは自治体初となります。この事業は、福岡県から福岡県助産師会に全面的に委託されたものです。事業の依頼は2023年12月29日、福岡県の子育て支援課からありました。助産師会にとっても飛躍するチャンスだと考えお引き受けしました。本格的に動き出したのは2月以降で、4月19日業務委託契約を結び、23日知事会見を経て30日開設の運びとなりました。予算は2185万1,000円(県一般財源1092万6,000円)で、そのうち国の補助金は母子保健衛生費735万7,000円、地域少子化対策重点推進356万8,000円となっています。

 

 事業は、相談、研修会、出前講座と周知・啓発の4つの柱で組み立てています。相談は、電話・メール・LINEで行い、必要時は面接を行います。また、医師によるオンライン相談もあります。情報発信は、保健所と連携して行う養護教諭、保健師、助産師等を対象とした研修会と、大学・専門学校等生徒、学生を対象にした出前講座を実施しています。またSNS広告や中・高・大学・専門学校・産婦人科・市町村等への周知・啓発のためのリーフレット・カードを作成し配布しています。現在、オンライン漫画を作成中で、来年掲載予定です。執務は、コーディネーター(常勤)1名と非常勤助産師13名の計14名で行っています。

 

来所相談の様子。相談は、電話・メール・LINEで行い、必要時は面談を行う。

来所相談の様子。相談は、電話・メール・LINEで行い、必要時は面談を行う。

 相談総数は半年で151件です。電話が62%で最も多いのですが、最近はLINEが増えてきています。60.9%が女性ですが、男性も36.4%あり、男性の相談窓口の役割を果たしています。年齢は10代が最も多く34.4%、次に30代が29.8%ですが、70代まで各年代に渡っています。相談内容は、性の悩み、避妊、性感染症、不妊・不育、妊娠や産後・育児相談、DV、自傷行為等と多岐に渡ります。

 

 開所から7か月経ちましたが、まだまだプレコンセプションケアの認知度は低いと感じています。しかしこの考えが拡大することで、健やかな妊娠・出産や生まれてくる子どもの健康につながるとともに、多くの人々の健康とより豊かな人生の創造に貢献する可能性を秘めています。企業や行政との連携も見えてきました。明るい未来に向け、福岡県助産師会は今後もセンターを継続し発展させていくために尽力したいと考えます。

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