アドバンス助産師Vol.16

2025.02.10

  • 【特集:性と健康の相談支援センター事業を推進する】
    県看護協会における性と健康の相談支援センター事業の取り組み

    福井県看護協会が開設する「女性の健康相談窓口」は、医療機関で働く助産師の多様な働き方の実現の場となっています。活動の様子や運営上の工夫についてお話しいただきます。

公益社団法人 福井県看護協会 「女性の健康相談窓口」事業担当

上木 敦子

 福井県看護協会では、生涯にわたり女性の健康を支援するための事業として2003年に県の委託を受け「福井県不妊専門相談窓口」を開設しました。2010年からは不妊や不妊治療に関する相談に加え、思春期から更年期に至るまでの幅広い年代の女性が抱える様々な悩みを相談できる「女性の健康相談窓口」へと拡充し現在に至っています。開設から20年が経過し年間100件程度の電話相談があり、2023年からはメールによる相談にも対応しています。

 

 メンバーは、不妊治療専門医2名とアドバンス助産師など医療機関で勤務する助産師、元看護管理者、元大学教授、不妊認定看護師8名が交代で担当します。医療機関で勤務する助産師の確保は、県看護協会の会員である助産師、施設管理者の理解を得ることで事業の運営に繋がっています。県看護協会の事務担当者との連携により財源の確保や関係機関との連携がスムーズに実施され、医療機関で働く助産師の多様な働き方の実現の場となり、地域における助産師の活躍の場になっています。

 

 研修会は年3回開催し、対応困難事例の報告と対応の検討、学会参加者の報告や外部講師を招いて国の政策、医療の最新知見や動向、社会情勢に関する話題を取り入れ質の向上に努めています。

幅広い年代の女性が抱える様々な悩みを受け止める、助産師による電話相談

幅広い年代の女性が抱える様々な悩みを受け止める、助産師による電話相談

 本事業のメリットは、相談者は身近で公平な機関である県看護協会で安心して相談を受けることができることです。アドバンス助産師等専門職による対応は、高度化する周産期医療や多様な性への対応を必要とする方々に対して安心で適切なケアを提供することができます。関連する職種者との連携にも力を入れ、医師とは連携体制を構築し相談者の希望や必要に応じて適時情報共有を行い面談につなげています。県の担当者とは、県内の様々な相談窓口に関する資料等を提供してもらい、相談内容に応じて各関係機関と連携し対応しています。デメリットは、担当助産師が交代で相談に対応するため一人の助産師による継続したアドバイスを行うことが困難なことです。そのため相談内容を記録に残し助産師全員が情報を共有し様々な角度から相談者をサポートしています。

 

 今後の課題は、さらに多くの女性に活用していただけるように本事業を周知することです。そのためにも助産師各々がスキルを磨き、女性の性と健康を支援できる助産師として役割発揮に努めたいと考えています。

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